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温室内の水やりについて 

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6月18日 今日は温室内の水やりの方法について、お客様よりご質問をいただくことが多いため、そちらをご紹介いたします。

当園の温室内では吊り鉢と置き鉢が大小合わせて千鉢近くあります。たくさんの鉢の水やりはどう行っているのか。この点を疑問に思うお客様は非常に多く、毎日必ずご質問いただきます。

ご想像に容易いと思いますが、全ての鉢を手で水をあげると丸一日の仕事になってしまいます。園内で展示されている鉢物のほぼすべてが、細いチューブを使った自動潅水によって水やりが行われています。

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この写真は、温室内の天井に近い、梁の部分を拡大して撮影したものです。梁の中心部には太めのチューブが敷かれており、そこから一定間隔で細いチューブが伸びています。この梁に吊り鉢をワイヤーで吊るし、細いチューブを鉢に繋ぎます。

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写真下部に見えるのは、ツユクサの仲間のブライダルベール。吊り鉢に仕立ててあります。梁の部分からブライダルベールをつなぐ、2つのヒモ状のものが見えますが、奥に見えるのが吊り下げ用のワイヤー、手前の手で持ったものが細いチューブとなります。チューブには液肥の入った水が通っていて、花へ十分な水と栄養が常時送られます。

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写真はブルマットという自動潅水装置です。梁からの細いチューブは左上と繋がっていて、中央のドリッパーより水が出るようになっています。ニンジンのように見える部分は土の中の水分を感知するセンサーの役割を持っていて、土の中の水分量が少なくなると、ドリッパーより水を出して、鉢の水分が適正となるよう調整します。

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上のようにして使います。

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このシステムを使うことで管理が楽になりますが、ブルマットの見回りは欠かせません。チューブの中でコケが発生したり、花の根っこがドリッパーに侵入したりして目詰まりを起こすことがあるからです。
結局、人の目が花を育てるわけです。


文章,写真:西村

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6月18日 雨の花菖蒲園 

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6月18日 きょうは午前11時過ぎより、激しい本降りの雨となりました。

強い雨に打たれ、花菖蒲もかなりうなだれており、花を美しく撮るには全く向かないのですが、雨が降っている花菖蒲園という雰囲気は、これはこれでまた良い感じでしたので、ご紹介することにしました。

そういえば、今年は今日のような本降りの雨は初めてでした。そういった意味でも、今年は天気に恵まれたシーズンでした。

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鎖樋(くさりどい)を流れる雨。雨の流れる様子を見ていると、なんだか心が落ち着きます。

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鉢物の圃場の浅池に並べられた八橋。雨に打たれると花は痛みますが、これはこれで風情があります。

昨日の炎天下の花菖蒲園と同じ場所とは思えないほど、晴れと雨とでは園の雰囲気が変ってしまいます。花の咲きぶりとその日の天候。朝と日中そして夕方で、花菖蒲園は日々刻々その表情を変えます。

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まだ無名の品種。淡い青の花色が雨とよく合います。

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確かあれは2007年の花のシーズンでしたか、開花最盛期の6月の第2日曜日にきょうと同じような本降りの雨に見舞われて、ご来園されるお客様の数も減り、とても恨めしい思いをしたことがありました。

きょうはお客様もそれほど多くなく、みなさん休憩所でのんびりと、雨に打たれる花をご覧になっていました。気候も昨日までとは打って変って肌寒いほどでした。

きょうは花を見るには良い日ではなかったですが、四季折々に変化する、日本の季節のなかの一コマでした。

花菖蒲の交配 

花菖蒲の花どきの大切な作業のひとつに、新しい花を作出するための交配作業があります。

当園は改良型の花菖蒲園で、毎年今までに見られなかった何らかの新花が見られます。それが当園の特徴の一つで、お客様にも、交配して新しい品種を作出している園というイメージが定着しています。

この作業は、なかなかご覧いただく機会もないかと思いますので、簡単にご紹介してみます。

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① まず交配する花の花弁を取り去ります。

これはめしべに花粉を付けた後で、ハナバチなどの昆虫によって違う花の花粉がめしべに付いてしまわないためです。ですから、昆虫がいない環境、たとえば室内で花を観賞しながら交配もしたい場合は、花弁を取る必要はありません。

また、交配は必ず開花1日めの花を使います。これも昆虫による雑交を避けるためです。

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② 花菖蒲のおしべとめしべです。

おしべはともかく、めしべはわかりにくいです。

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③ 花粉を取る

おしべからつまようじで花粉を取り出します。

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④ 花粉をめしべに付ける

この隙間の内側がめしべになっています。ここに花粉を入れます。

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⑤ ラベルを付ける

何と何を交配したか、目印のラベルを付けておきます。

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⑥ 子房が膨らむ

交配後、受粉していれば半月くらいで子房が膨らんできます。

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⑦ タネを収穫する

秋9月になればタネが実るので、収穫して紙袋に入れて室内で貯蔵します。

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⑧ 翌年に育苗する

翌年の春にタネをまきます。比較的大きなタネですので、まきやすくかなり良く発芽します。

芽だし後一月くらいから徐々に肥料を与えて肥やすと、6月末頃には上の写真のようになりますので、これを一本づつに鉢上げして、夏中肥培すると秋には立派な株になります。

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⑨ 気に入った花を選ぶ

そして翌年開花するので、そのなかから自分の気に入った花を選びます。

これだけの簡単な作業ですが、当園はこの作業をもう40年近く毎年行っています。その積み重ねで、今の園内の花菖蒲が出来上がってきています。