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花菖蒲の株分け 

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6月26日 今日は花菖蒲の株分けの様子をご紹介いたします。
当園の地植えの花菖蒲は2年に一度、スコップで掘り上げて、株分けしています。花菖蒲は定期的な株分けが必須で、これを怠ると株が衰え、花つきが非常に悪くなってしまいます。

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株分けは、梅雨が明けていない、今の時期に行うのがベストです。しかし、株分けが遅れると暑さで痛みやすいので、極力早めに行うことが大切です。スタッフが梅雨の合間を見て、スコップで掘り上げを行います。
葉が切り揃えられていますが、これは、掘り上げと株分けの際、効率よく作業を行うためと、植えつけ後、根の張っていない株の過剰な蒸散を防ぐため。あらかじめがスタッフが切り込みます。

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掘り上げた花菖蒲は大きいもので一株10キロ近くになります。株分けのため、作業場まで運びます。

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まず、余分に付いた土と古い根を鈎状の道具で掻きとります。その後、花茎が伸びた親株を根元から刈り、そこに包丁を垂直に当てて、株を連結している根茎を切ります。

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その後、左右の株をそれぞれ持って、引き裂くように株分けします。そうすると細かな、元気な根を傷つけにくく、株へのダメージが最小限に済みます。

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引き裂くように分けていき、最終的には1篠から2篠まで株分けします。

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当園では、山砂とピートモスを同量混ぜ合わせたものを鉢植え用の土として使っています。特にこれにこだわる必要はありませんが、肥料分の入っていないものを選ぶ必要があります。一般的な植物が栽培できる土ならば何でも結構です。株を鉢の中心に据え、力を入れて少し強めに土を押し固めます。

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株分けの終わった鉢。ひとつの株から多いもので10篠ほど取れます。

一カ月ほどで根づくので、その間は暑さで乾かさないよう、水遣りには注意してください。
根づいてからは、旺盛に成長する時期なので、有機肥料を中心に施肥を行うとともに、根の伸長を促すために、時々土を乾かします。

今年殖やした株は来年の開園期に、また素晴らしい花を咲かせてくれることでしょう。


文章,写真:西村

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花菖蒲 今年の成果 その2 

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江戸系 夜の波


6月26日 昨日に引き続き、今年の花菖蒲の成果についてもう一つ。

今年は、数年前から改良し育成してきた青色系の花菖蒲が殖えて、やっと園内に青紫色の色彩が増えてきたことも、成果の一つに上げられます。

青色系の色彩を持つ花菖蒲は、別に珍しいわけではなく、以前からありましたが、1990年代の後半からのリゾクトニア性の立ち枯れ病という花菖蒲のあらたな病害のため、それまであった青紫色系の品種の多くが消滅してしまいました。また青紫色系ではあるのですが肥後系の花で、園に植栽した場合に咲き揃う性質がないなど、花菖蒲園に使える良い品種があまり見当たらなくなっていました。

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青系の品種がなぜ大切かというと、上の写真のように、青系や紫など濃色系の品種がないと、花菖蒲園の色彩がしまりのないボケた感じになってしまうからです。特に晴天の日はピンクや薄藤色系は色が飛んで見え、園全体が白っぽくなってしまいます。

濃色系の色彩が必要とはいっても、濃紅紫系では、たくさんあると暑苦しい感じになるので、涼しさを演出する青色系が必要なわけです。

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そしてこれが今年の園。青紫、水青色系があることで園全体の清涼感が増し、色彩のバランスがとれてきます。今後もう少し青紫系の比率を高めてゆくことで、園内がさらみメリハリの利いた美しい風景になってゆくと思います。

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そんな考えから近年生まれて来た原里(はらさと)という品種。名前は掛川市原里、この花菖蒲園のある地域から取りました。

この花は、開花2日目に日ざしが強いと花弁が内側に巻いてしまう性質があり、今ひとつなのですが、澄んだブルーを感じる青紫が美しく、丈夫な性質、繁殖も良い、草丈も高いなど花菖蒲園に好適な性質を多く持っています。

さらに早咲きで、一端開花が終わったあと、晩咲きの咲き始める頃になって新たに花が上がってくる二度咲きの性質を持っていて、開花期が長いのも特徴です。

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門前圃場に植えて、優良な品種とわかった大水青(おおみずあお)。名前は澄んだ水色の羽根を持つ蝶のような蛾から取りました。

直径20cmほどの大輪で、性質丈夫、草丈も伸び花茎に枝も出るので開花期が長いなどの特徴があります。澄んだ青水色で雄大に咲き、今後の当園で大いに活躍してくれそうです。

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濃い沈んだブルーを帯びる天水(てんすい)という品種。この品種はまだ20鉢程度ですが、この品種が増えてくる数年後には、花菖蒲園はさらに美しくなると思います。

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八重のたいへん賑やかな花形の八重紫雲(やえしうん)。八重咲きの品種は、その大輪さゆえ咲き揃う性質はあまりないのですが、この品種は花上がりがバツグンによく、青藤色のじゅうたんのように咲きます。性質も丈夫で繁殖も良い、今後の優良品種です。


個人の趣味家で、花一輪を鑑賞するのであれば、より花形の端正な肥後系の極大輪系が良いのですが、花菖蒲園ではまた違った観点。丈夫でよく殖え、よく咲き揃い草丈が高いなど、実用面で優良な性質を持っていることが必要で、そういった何拍子もそろった品種は、花菖蒲の多くの品種のなかで意外に少ないのです。

前回ご紹介した濃いピンク。そして、今回ご紹介した園に清涼感とメリハリを与える青系の品種が多く園を彩るようになると、花菖蒲園の景観もより美しいものになると予想しています。