08年の花菖蒲の新花 

5月11日 きょうは、今年選んだ花菖蒲の新花のなかから、その一部をご紹介します。

これらの花は、一昨年に交配しタネを取り、昨年の春にタネを撒いて一年育てて、今年の1月から温室内で促成させて、この春から咲き出したものです。今後、増殖しながら命名し、普及させる今後の品種の候補です。

花菖蒲は、交配から2年目、タネを撒いた翌年に初花を咲かせます。

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5月12日初花。紅紫の覆輪がひじょうに鮮明な八重。花径約13cmほどだが、開花初日なので明日にはもっと伸びると思います。が、花色は薄くなるかも。この株から出ている新芽数は2本と少ないので、殖えるか少し心配ですが、一応こんな花も生まれましたということで、ご紹介します。

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上の花の開花3日目のようす。最近の低温と、室内の暗いところで保存したため、開花3日目でも十分見られました。というか、低温で開花が進まないのです。

花は、ちょうどスティップルド・リップルスのような八重で、より覆輪がはっきりした花でした。花の直径は16cmほどの平咲きです。良い花なので、殖えてくれると良いのですが・・・


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ピンク地に白の吹雪絞りの六英。花径は約18cmほどの大輪。この花は昨年選んだもので、株数も殖えてきていました。

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濃いピンクに白い絞りの入る六英花です。花の直径は18cmほど。花形や芯の形もよく、肥後系といって差しさわりのないものと思われます。ピンクに白絞りの品種は、名古屋の故光田義男氏が幾品種か作出しましたが、この花もその光田氏の花の後代にあたります。これで繁殖が良く増殖すれば命名販売できる良品種になると思われます。

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白地に紫の散り絞りと、覆輪の入る八重咲きの花です。花径は約20cmほどの大輪。重ねの多い整った花形も魅力です。

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上と同じ交配による姉妹株。こちらのほうが少し覆輪が太く派手ですが、花形は一つ上のほうが勝っています。

こうして、初めて開花した個体は、見どころのある花を大方選別して取り上げ、翌年にまた見て平均して良い花型に咲く個体を選抜してゆきます。

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純白の八重大輪。花弁の縁がフリルのように波打ちます。八重としては多少浅い感じがしますが、花弁縁のフリルが細かくて特徴的でしたので、来年度に判断ということで、選んでみました。

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ちょうど「連城の璧」や「霞の衣」と同じような、透明感のある藤色の色彩の八重大輪。

ここに紹介したこれらの花は、一般の人々が「あやめ」という言葉から連想する普通の三弁の紫色の花とは、色も形もかなり隔たっています。花菖蒲園に植えつけて眺める花というより、一輪を見て楽しむ花菖蒲の趣味家向けの花です。

でも、屋外の花菖蒲園には、やはりすっきりした花形の花の群れが美しく感じられるものです。ですから、花菖蒲の育種は、花の集団を鑑賞する花菖蒲園向きの丈夫で群生美の美しい花の育種と、一輪を鑑賞する趣味家向けの育種に分かれます。

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濃カトレアピンクの三英咲き。故光田義男氏の作花の「琴 姫」や「都 雅」のようなカトレアピンクで、より濃色です。この花は草丈もある程度に伸びるので、増えれば濃ピンクの有望品種になりそうです。


ここに紹介した花は、今年の実生新花で、今年はこの花とこの花の2番花の2輪しか咲きません。増殖して命名できる頃には株数も徐々に殖え、数年後から園内に展示できると思われます。

花菖蒲は、江戸時代の中期頃より、山野に自生するノハナショウブから改良され発達してきた日本の花です。原種から園芸品種への発達がはじまって300年。すでに十二分に改良され尽くして、もう新しい花は出ないのではとも言われています。


しかしこのように、毎年少しづつ一歩づつではありますが、これまでにない新しい特徴を持った花が生まれています。