アヤメの仲間の見分け方 

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5月7日 きょうはアヤメの仲間の見分けかたについて、書いてみます。

「いづれがあやめ、かきつばた」のことわざの通り、昔から見分けのつきにくいものの例えとしてよく話題に上るアヤメの仲間の見分け方。例年、6月の花菖蒲の時期になると、ご来園されたお客様から「ショウブと、アヤメとカキツバタの違いを教えて欲しい。」とよく問い合わせがよくあり、そんな時に上の画像を大きなパネルで表示しておいて、お見せしながら答えたりしています。

今回は、各種類の違いを簡単にご紹介します。

なお、ここでは、ハナショウブ、アヤメ、カキツバタの違いだけを紹介しました。このほかにもアヤメの仲間はジャーマンアイリス、キショウブなど多くの種類がありますが、それらを共に並べると煩雑になって、余計に紛らわしくなってしまうからです。

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まず、こちらが花菖蒲の原種、ノハナショウブです。中国東北部、ロシア極東部、朝鮮半島、そして日本に自生しています。草丈はおよそ70cm前後ほどで、花は直径およそ10cm内外の花を5月末~6月、寒い地方では8月初旬にかけて咲かせます。花色は写真のような赤紫色から、地方によって青紫色の花の咲く自生地など、地域ごとに微妙な変異があります。

園芸種の花菖蒲はこの花を元に改良されたもので、花形や花色が格段に変化に富んでいますが、花弁中央基部の黄色い目型模様だけは、どの品種も同じく黄色です。

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花菖蒲の原種のノハナショウブは、草原からわずかに湿り気のある湿原などに分布しています。本州では山岳地帯の高層湿原などでわずかに点在しているのを見ることができる程度ですが、本州北部の青森県や、北海道の海岸草原では広大な群落が見られる場所もあります。

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こちらはアヤメです。

アヤメはノハナショウブに比べると花形は若干小ぶりで8cm内外。草丈は50cm内外で、ノハナショウブに比べ葉は細く葉に葉脈が目立たないのが特徴です。開花期もノハナショウブよりも早く、関東以西の平地で5月上中旬頃に開花します。花弁の基部に網目状の模様があることが特徴です。

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アヤメはノハナショウブより若干乾燥にも耐えることができるようで、主に草原地帯に自生しています。また花菖蒲やカキツバタなどに比べかなり性質が丈夫なため、住宅の庭先などにも花のシーズンになると見かけることができます。


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そしてこちらがカキツバタ。花の大きさははノハナショウブとほぼ同じで10cm内外ですが、明るく透明感のある澄んだ藤青色が特徴です。花は平野部では5月上中旬頃に開花し、葉はノハナショウブよりも幅広く葉脈は目立ちません。

花弁元部の目型模様は白黄色で、この点が花菖蒲と明確に異なります。また、開花期が花菖蒲より約一ヶ月ほど早いのことも特徴です。

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カキツバタは、アヤメやノハナショウブよりも水けのある湿原地帯に自生しています。現在に残る平野部の自生地はすでに保護された場所であることが多く、愛知県刈谷市の小堤西池や、京都府北区の大田神社のカキツバタ群落などが有名です。

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最後に、こちらは先日もご紹介したサトイモ科のショウブ。

そしてこのショウブの存在が、アヤメの仲間を一気に、ものすごく紛らわしいものにしています。


このショウブは、漢字で書くと「菖蒲」であり、その漢字は「あやめ」とも読みます。

古くはサトイモ科のショウブも、アヤメ科の花菖蒲(ノハナショウブ)やアヤメも、ともに「あやめ」と呼ばれていました。サトイモ科を「あやめぐさ」、アヤメ科のほうは「花あやめ」などとも呼ばれましたが、「あやめ」とは、サトイモ科のショウブと、アヤメ科のノハナショウブ(花菖蒲)やアヤメの、共通の古名なわけです。

ですから、花菖蒲のことを「あやめ」と呼ぶ地方もあったりします。茨城県潮来町や山形県長井市のあやめ公園などがそうです。彼の地に植えてあるのは、アヤメではなく花菖蒲です。

また、花菖蒲のことを「しょうぶ」と簡略して呼ぶことも、「菖蒲」と簡略して書くこともあります。

ですが、植物学的には、ショウブとアヤメ、ハナショウブは、別の植物です。 ここがおおいに混乱してしまう原因になっています。


ついでに申しますと、動植物などを表記する場合にはカタカナ表記が原則ですが、当園では本来「ハナショウブ」とすべきこの花の表記を、あえて花菖蒲と、漢字で表しています。

これは、花菖蒲が古い時代からの端午の節句の菖蒲の文化の土台の上に、江戸時代以降の人々に愛好され、改良されたて出来上がった花であり、その歴史が「花菖蒲」という漢字のなかに、明確に表れているからです。

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